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毒蛇小姫
ああああ。いい天気だなー。
祓魔課の屋上には、職員がバレーボールとか、バトミントンをやりそうな広いスペースがあって、その隅の4段の階段を枕にして、碧は9月の陽を浴びていたのだった。
やっぱり、私爬虫類かあ。
母親から受け継いだ体質。碧は、たまにこうしてバスキングをしないと、変に調子を崩すのだ。
碧の手には、串刺しにされた妖ゴキが、ジタバタしながらいい匂いを発し続けていた。
ん?ああ、来たな?
オフィスの中は、祓魔官がいる。オフィスの中からここへは来られない。
現に、オフィスの中を通って登ってきた爬虫類は、殆どがここまで来られなかった。
「壁登ってきたか。やっぱり。餌欲しいのか?」
ポイと投げると、数百匹の爬虫類に、フィーディングスイッチが入っていた。
即ち、ここにいる碧に対しても。
「私を食うだと?お前等が?身の程を弁えろ。下等生物共」
碧の両目が、青く染まっていた。
「狐池猿渡、殺れ」
勘解由小路降魔の僕悪魔が、数百の爬虫類を、鏖殺していった。
うん?碧は、それに気付いた。
「あーあ。みんな殺されたよ?アルカイド」
「うん。でも、これも、死んだよ?ベナトナシュ」
狐池猿渡が、揃って殺され、消失した。
「ほう。うちの家政婦をな?まあ、すぐに復活するんだが」
「それまでに、お前は必ず死ぬけどね?勘解由小路の小娘」
「私は、ベナトナシュ」
「私は、アルカイド。母さんの敵に」
「壮絶な死を」
2体の人間が、人革を破り、正体を現した。
「あああ。蛇蠍って、奴か?アーマードスネークってとこか。ただ、お前等は双子って訳じゃない。アルカイドにベナトナシュは、共に北斗七星を構成する恒星の名だ。アルカイドとベナトナシュは、別に連星って訳じゃない。何てこたない。ゾーイの奴が。丁度よかったんで適当に名付けたんだろうよ。さて、サソリなんだか蛇なんだかに告げる。私を前に頭を垂れろ。まだ、垂れる頭がある内にな」
恐ろしい傲岸。それが、勘解由小路家の長女、碧だった。
「生意気なガキめ。お前など、何ら私達に害し得ない」
同時に襲いかかってきたゾーイの子供達に、碧は、1人で迎え撃つことになった。
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