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飛行機の中で、真琴は心配で堪らなそうにしていた。
「心配です。碧ちゃん。空手の正拳突きくらい、無理矢理にでも教えていればよかったです」
「碧なら、まあ、大体何が来ても大丈夫だ。だって考えろ。流紫降の、双子の姉なんだぞ?血統の高さは段違いだ」
勘解由小路家が、左手を挙げた。指は動かず、開こうともしないが、真琴はそれを察知して、己が指を絡めた。
「思えば、あいつは妖変異すら中途半端だった。まだ、目も開いていない赤ん坊に等しい。だが、逆にワクワクしている。目を開けたあいつが、どういう存在になるのか。だって、真琴、お前の娘なんだぞ?」
ここまでハッキリ言われて、それでも、やはり心配です。
「うにゃあ。川峰しゃん。来る。屁こきが来る」
勘解由小路が、眠った莉里の頭を撫でていて、莉里は、寝言をムニャムニャ言っていた。
「凶暴な屁こき。自動的に、敵意を数万倍して返却する、悪夢のような屁こきが。怖いようパパ。自動屁こきは、敵意に反応する」
ぷ。これが寝言って?堪らず、勘解由小路は吹き出していた。
「多分あれだ。妹は、誰よりも姉を解っているようだぞ?」
言われて、真琴は微妙な顔をしていた。
「あああ。屁こき。屁こきだと?誰だって、クソかっけー老執事が来たら、緊張しちゃうだろうが?お前はどうなんだ?おい、応えろ下等生物」
立ち上がった碧の目が、ルビーのように真っ赤に染まっていた。
反魂の魔眼。新たな、魔眼の覚醒があった。
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