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家出娘
あー。何かムカつく。
そんな風に思いながら。勘解由小路碧は2台の携帯を操作しようとしていた。
「お嬢様、その携帯は?何をイラついてますので?そんな匂いがします」
物理的に尻に引いた静也が、碧の心情を嗅ぎ取っていた。
時刻は深夜。機内は消灯がされていた。
「あん?今な?パパの携帯のロックを解除しようとしている。私が生まれて3か月頃、パパのロックを解除した時は、makoto oppai1919 caodai1926 だった。カオダイは、ベトナムの国教で、ゴ・ミン・チェウが作った新興宗教よ。私が赤ちゃんだったんで油断したな?パパは。お陰でアンパンマングッズとか、タイムズの記事に埋もれることになった訳だが。今はなあ、何かパパ以外の誰かがパスを勝手に変えててな?ムカつくのはあれか。莉里の奴か。あああ。luv ilil peropero puikyaa 37564zankaku?ふん。莉里のくせに生意気だ。原潜でも買ってやろうか。それか土地。でもまあ、これでパパの携帯は使い放題だ。次は島原のおじさんだな?」
何て嫌な小2女子だろう。尻の匂いをプンプン嗅ぎながら、静也は暗澹たる気分になっていた。
「まあ、おじさんはさほど捻くれてないっていうか、杓子定規なパスしてるでしょうね。あああ。18桁?どうせおばさんか真帆の奴の生年月日の逆でしょ?真帆は何か、可愛いけど陰気なガキだったし。おばさんのスリーサイズも真帆のも全部把握してんのよこっちは。あああ。簡単にはいかないわね。ねえ、おじさんとおばさんの出会いって知ってるか?」
正直、あまり詳しくはなかった。
長崎のヒルコ騒動。としか。
「長崎の事件はあれよ。おじさんの人生の転換期ってだけで、おばさんは特に関係してなかったでしょ?まあ、オフレコにしとくけど、おばさん確か、当時担当してたミステリー作家と不倫してたんでしょ?それをおじさんがNTRしたってとこ?まあ大人だったらそういうことあるけどさ。あれ?その当時のおじさんとおばさんが、どんなデートしてたか、私知らないや。あ、エメラルド仏?プラ・プッタマハーマニーラッタナパティマーコーンケーオモーラコット って、タイ語だし18桁じゃないじゃんか。まあおばさんの取り留めない願望だろうけど、それをそのまんまパスにするようなおじさんじゃない?ふうん面白いじゃん」
この子。どんだけだと静也は思っていた。
「いや、やっぱり長崎の騒動でしょうね?マグダラ、いや、santa mariaかしら?ああ!解った!」
大きな声がした。
「そん時、おばさん中には真帆の奴がいたのよ!ってことは、santa mariasね!複数形ってああつまんない人!それと生年月日の混合!解けた!祓魔課2大巨頭をPCからシャットアウトした!おじさんには肥満系の尻動画が見られるアダルトサイトを片っ端から契約しといてやろう。同時に、祓魔官共にメールを一斉送信だ。「新課長就任の挨拶について」だ。帰国と同時にオフィスに集合な?お前も来いよ?」
ピロリンと、メールを受信した音が聞こえていた。
今この瞬間、けったいな児童によって、警察庁祓魔課は陥落していた。
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