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『久しぶり。山本です。
突然で驚いただろう。ちょっとお前に相談したいことがあったから、共通の知人に連絡先を聞いてメールさせてもらったんだ。
実は今年で中学三年生になる息子の様子がおかしくてな。家の中に幽霊がいるとかなんとか言って、家に居ることを怖がって困ってるんだ。
実話怪談作家をやっているお前なら、力になってくれるんじゃないかと思ってさ。時間のある時でいいから、少し話を聞いてやってくれないか』
大学時代の友人の山本からそんなメールを貰ったのは、今から二週間ほど前のことだ。
友人と言ってもそれほど親しかったわけではない。学生時代に共通の友達を交えて彼と遊んだことなら何度かあるが、山本と二人きりで遊んだ記憶はないし、大学を卒業してからは一度も連絡を取り合っていない。その程度の知り合いである。
そんな彼がわざわざ私に連絡を寄越してきたのだから、そうとう困っているのだろう。
『僕には霊感も、幽霊を祓う能力もないから、話を聞くことしか出来ないけれど構わないか?』
私がそう尋ねると山本から、『話を聞いてくれるだけでいい』という旨のメールが返ってきた。
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