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街の明かり
風が煙草の煙を攫っていく。それをぼんやりと眺めながら、煙草を燻らせる。
眼下に拡がる見慣れた景色は、今日も漆黒から抗おうと煌めきを放つ。
無意識的な恐怖から逃れる為に、必然的に人間達は行なっているのだろう。
どれだけ文明が発達しても所詮、人間は脆い。心も、身体も――。
この明かりの数だけ人間がいて、そして私を楽しませてくれるということ。
ただそれだけ――私には関係がない。
「さて、今宵も私と遊んでいただきましょう」
今日の獲物に期待が膨らむのを抑えきれずに、笑みが溢れる。
「みーつけた」
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