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「東国の生物兵器?」
サヴィトリは首をかしげる。初めて耳にする話だった。
「東国にのみ生息している巨大生物をベースに作った合成獣のことです。基本的に単体で行動し、通常の魔物よりも凶暴性が高く、優先して人間を襲う。異常な再生能力を有しているため、倒すにはヴィクラムがやったように一撃で首を落とすか、心臓をえぐり出す必要があります」
ヨイチがわかりやすく説明してくれた。
(東国か。もしかするとこの生物兵器も私に対する刺客なのかな)
東国というのはこの大陸にある列強三国のうちの一つ、ダタラ帝国を指す。国境沿いに長城を築き、出入国を厳しく制限しているため、どんな国であるのか正確なところはわからない。最盛期は大陸の半分を支配しており、かつての威光を取り戻すため各国に対し破壊工作や内乱の煽動をしているとも聞く。
(仮に東国が暗殺や襲撃の大元であるなら、叩き潰すのは骨が折れそうだ)
サヴィトリは出そうになったため息を飲み込み、巨熊の死骸に近寄った。
今いる国有林は、王都と国境のちょうど中間にある。サヴィトリがこの森に来ると知っていて放たれたのか、それともただの偶然なのか。どちらにせよ、この巨熊が本当に東国の生物兵器であるなら由々しき事態だ。
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