4-3 裏切者

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「主語をちゃんと言え! 何をするというんだ!」 「大丈夫だ。お前に変なことをするな、と三人から言い含められている。変なことはしない」 「だから具体的に言わないか! 変じゃない何をするつもりだ!」 「俺の口から言わせたいのか」 「妙な言い方をしないでくれ! 私はごく普通のことを聞いている!」 「裏切者は俺の隊の者だった」  突然まともな話に戻され、サヴィトリは継ぐ言葉に(きゅう)する。 「三番隊の中に、あの生物兵器を持ち込んだ者がいる」  ほんの少しだけ、ヴィクラムの声が沈んだようにサヴィトリには聞こえた。 「それが誰かは、もうわかっているのか」 「今ごろヨイチが取り調べをしているところだ。五番隊は羅刹全体の監察(かんさつ)も担っている」 (カイが五番隊を護衛につけたのは、もしかして内通者がいるとわかっていたから? そもそもこの急な討伐任務自体が罠で、裏切者をあぶり出すためにカイが仕組んだ?)  サヴィトリの頭の中に、怜悧(れいり)で表情のないカイラシュの姿が浮かぶ。
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