4-3 裏切者

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 カイラシュの普段のイカレ具合のせいで忘れがちになるが「タイクーンの懐刀」と呼ばれる人物だ。自分よりもよほど計略や謀略に()けている。  おそらくカイラシュ独自でも動いているだろう。一見するとサヴィトリの従者のようだが、補佐官はタイクーンの指揮下だ。サヴィトリの命令よりも、タイクーンの勅命の方が優先される。 (だからこそおかしいんだよね。城内に内通者がいるならカイが見逃すはずがない。よほどうまく隠れているか、カイが手出しできないような人物。あるいは――カイ自身が関わっているか)  良くない想像がよぎり、サヴィトリはぎゅっと心臓を掴まれたような感覚を覚えた。 「お前を五番隊の者に任せ、王都に戻らせるつもりだったが、ヨイチが気を利かせた。おかげで、あんなことをした意味はなくなったが」 「つまり、結果的に私が恥ずかしい思いをしただけか」
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