4-5 アップルシードルを片手に

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「隊長ナニしてたんですかー遅かったじゃないですかーもうみんな始めてますよー」 「ナニってナニだろうがよ。隊長にナニ言わせようとしてんだおめー。で、隊長はナニしてたんです?」 「こんな所でウザがらみしてんじゃねーよ。隊長、女将さんが地酒を用意してくれたんでよかったらどうですか? で、ナニしてたんです?」  酒臭い屈強な男たちに取り囲まれ、ヴィクラムはなすすべもなく宿の中へと連れ去られる。  サヴィトリは軽く手を振って見送った。  理由はよくわからないが、ヴィクラムは自分の隊の隊士たちに異常に慕われていた。今日はまだおとなしいほうだ。信奉者といっていいほど様子がおかしい時がある。 「空気読めない奴らですみませんね、殿下」  ため息混じりに言いながら現れたのはヨイチだった。 「いや、ヨイチ殿に聞きたいことがあったからいいよ」  半分は本当だ。  裏切者がどうなったのか。目的はなんなのか。背後にいるのは誰なのか。何か有益な情報が得られるかもしれない。
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