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「つまり、カイは最初から三番隊に怪しい奴がいるって知っていたってこと?」
サヴィトリはアップルシードルには手をつけず、薄く焼かれたガレットの中央に乗った目玉焼きにナイフを入れた。ぷつ、と黄身がはじけ、鮮やかなオレンジ色がしたたる。
「えーあー、平たく言うとそうです。裏切者に尻尾を出させるためと、俺たち五番隊が同行しても不自然でないように今回の狼討伐は計画されました」
「私は囮か」
「よくもまぁ本人に黙って大事な姫様を囮にしますね。評判どおり怖い人ですよ、あの女装補佐官は」
ヨイチはこわごわと腕をさすり、目蓋を伏せた。
(今回の討伐への同行を言い出したのは間違いなく私からだった。それすら誘導されたのか?)
サヴィトリはガレットを咀嚼しながら考える。
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