4-5 アップルシードルを片手に

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「ヨイチ、話が終わったならこいつは連れていくが、構わないな」  尋ねるというよりも断言するような語気の強さで言うと、ヴィクラムは有無を言わさずサヴィトリの身体を横抱きにした。  サヴィトリはわけがわからず、とりあえず握ったままのマグの中身がこぼれないようバランスをとる。 「この程度で()くなよ。殿下をほったらかしにしてたのはお前だろうに。ま、どうぞごゆっくり」  状況が掴めないサヴィトリとは対照的に、ヨイチは訳知り顔をして、しっしと追い払うように手を振った。
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