4-6 酔った勢い

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「ん、んっ……ぁ……うぅ、ん……っく……」  サヴィトリは息苦しさに顔をしかめ、ヴィクラムの腕にすがりつく。指と唾液のせいでくぐもった声しか出せない。  最初は異物感がひどかった。だが刺激によって唾液の分泌が多くなり、水音が激しくなると、不意にサヴィトリの頭の奥が痺れた。苦しさが段々と興奮にすり替わっていく。 「今日の俺はよくないな。歪んだ顔にも欲情する」  ヴィクラムは自嘲し、さらにサヴィトリの口を大きく開けさせた。人差し指と親指でつまんで濡れた舌を引き出す。  さすがに興奮よりも恥辱の方が勝り、サヴィトリはきつくヴィクラムをにらみつけた。 「へんたい」  物理的に舌足らずにさせられているため、実際には「へんあい」という発音だった。 「嫌がっているようには見えないがな」  ヴィクラムは確信しかない声と顔で、サヴィトリの抗議を一蹴(いっしゅう)する。  サヴィトリが二の句を継げないでいると、舌を唇で包み込まれた。  柔らかく動くヴィクラムの舌に、先端や舌の裏側の付け根をつつかれ、サヴィトリは気持ち良さにため息を漏らす。  アルコールとヴィクラムの瞳のせいなのか、抵抗感が薄い。溺れたら楽になれる気がした。  だがそれでいいのかと、頭の隅で警鐘が鳴っている。
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