4-7 一番ではない男★

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4-7 一番ではない男★

「結局森での時は『目に頼って抱こうとするのは、やはり卑怯だ』と土壇場で日和(ひよ)ったくせにな。今は目だけでなく、酒の勢いも借りている。恥の上塗りもはなはだしい」  ヴィクラムの顔の上には、様々な感情が入り混ざっていた。感情に引きずられてか、瞳の光も不規則に明滅している。 「今も昔も、俺がお前の一番でないことはわかっている」  ヴィクラムは首や鎖骨に唇を落としながら、荒々しくサヴィトリの身体をまさぐった。  サヴィトリの服は乱れ、ずれ落ち、腰のあたりでしわくちゃになって留まる。下衣とまとめて一緒に脱がされ、ベッドの端に放られた。  身体を覆う物の少なさに、サヴィトリは自分の肩をかき(いだ)く。 「私の一番って、誰なの」  我ながら間の抜けた質問だ、と思いながらサヴィトリは尋ねた。  皆に対する感情はそれぞれ個別で、誰かと比較するものではないし、できない――それがサヴィトリの考えだ。この状態で凝り固まってしまっている。だからこそ誰か一人を選べない。また、確固たる信念があるわけでもないため、強く押された方に流れてしまう。
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