4-7 一番ではない男★

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 カイラシュに「身体が先でいい」と言われればそういう方向に行きかけた。ナーレンダに「心が先だ」と怒られると、そうなのかなと思い直す。けれど、ヴィクラムに組み敷かれ触れられても、戸惑いはするが嫌な気はしない。いっそ流れて試してみてもいいのでは、などと思う始末だ。 「俺からは教えられない。言っておくが、あくまでも俺の見立てだ。お前の本心かはわからない。だが、それを聞けば意識をするだろう。本当は一番でなかったとしても、一番になる可能性がある」  暗に自分の気持ちのうわつきを非難されているようで、サヴィトリは胸が痛んだ。 (つくづく自分がないな、私は) 『無知を盾にしていいのは子供だけ。君はもう大人なんだろう。自分で考えなよ』  ナーレンダに言われたことが、さらに追い討ちをかけてくる。 「俺はカイラシュほど言葉を重ねてはやれないし、ナーレンダほど募る思いがあるわけでもない。ジェイ殿のような細やかな気遣いもできない。だが、良くはしてやれる」  ヴィクラムの手がサヴィトリの太腿を撫で上げた。付け根のあたりで指が遊ぶ。
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