1-2 男たちにもワケがある

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「……ダメなの?」  サヴィトリはナーレンダの服の裾を引っぱり、こそっと尋ねる。 「ふん、そんなくだらないこと僕に聞かないでよ」  ナーレンダは素っ気なく答え、前髪を押さえるようにかき上げた。呆れたり困ったりしている時の癖だ。 「だってカイは『ここにいる全員』って言ってた。ナーレも私のこと好き?」 「は……ばっかじゃないの! この話において重要なのは君の心の持ちようであって、僕のことなんかどうでもいいだろ!」  ナーレンダは頬を紅潮させて声を荒げた。色素が薄いため、可哀そうなくらい赤さが目立つ。 「出た。もはや古代遺物のようなツンデレ。三十にもなって恥ずかしくないんですか」  カイラシュは舌を突き出し、吐きそうな顔をした。 「人の性格を変なカテゴライズするんじゃあない! あと歳は関係ないだろう!」  ナーレンダは自分の年齢に触れられると機嫌が悪くなる。三十歳にしては子供っぽいところがあるとサヴィトリも思っているが、ナーレンダは怒ると怖いので口にしない。
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