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第5章 5-1 第1回 男四人の危険な密談(ジェイ視点)
「当該被告への求刑は?」
「極刑」
術士長と補佐官によって、きわめて端的に刑が言い渡され、第三厨房は処刑場へと変じた。
配膳を終えた俺は銀のトレイを胸に抱き、深呼吸よりも深くため息をつく。
はっきり言って、めっちゃくちゃ迷惑。
第三厨房で起こったことは必ず秘匿される――それがここのルールだ。ここの管理を任された俺が遵守しなければならないことでもある。
補佐官と術士長と羅刹の隊長がおもむろに乱闘し始めたら、格好のゴシップになるのはわかるよ。でも、どっか他所でやってほしい。
「何をそんなに怒っているんだ」
補佐官権限で王都へと呼び戻された被告人——ヴィクラムさんは、迫りくる黒い針をフォークではじき落とす。
何故自分が糾弾されているのかわかっていないようだ。もしも理由がわかっていたなら呼び出しを無視しただろう。いや、でもヴィクラムさんだしな。俺だったら心当たりがなくとも、カイラシュさんとナーレンダさんが関わってる時点で全力で逃げ出すね。
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