第5章 5-1 第1回 男四人の危険な密談(ジェイ視点)

4/5
前へ
/175ページ
次へ
 っていうかそもそも、サヴィトリとヴィクラムさんを二人きりにした時点でどうなるかわかってたけどさ。  他の二人だって予想くらいしてたはずだ。俺たち四人がそれぞれ強固に牽制(けんせい)していたからこそ、誰もサヴィトリとの関係が進まなかった。  それを一定期間二人きりにすれば、当然手を出すに決まっている。特にカイラシュさんとヴィクラムさんのクベラ人組はそうだ。やらないわけがない。  だからカイラシュさんは自分を一番手にしたんだ。他の人にどうこうされる前に既成事実を作るために。玉砕(ぎょくさい)したっぽいけど。  俺はこっそりと部屋から出て、外から鍵をかけた。  今いた部屋は、第三厨房の中でも特別な一室だ。この部屋の存在自体、一握りの人間しか知らない。  地下にあるため防音性が極めて高く、特別な密談に使われる。元々は牢獄だったものを改築した部屋だ。あの三人を完全に封じ込めることは難しいけど、俺のシフトの間くらいは大人しくしていてもらえるだろう。
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加