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(こんなに夢だとわかりやすい夢は初めてだ。でもどうしてこんな……なんていうか、アレな夢なんか見るんだ……!)
サヴィトリは羞恥と困惑を強引に思考の端へと追いやり、右手に意識を集中させた。手のひらサイズの氷の刃を作りだす。
(どう考えてもこの夢はロクなことにならない。それならば、さっさと目覚めてしまった方がいい)
夢であると自覚しながら見ている夢——いわゆる明晰夢は、術による干渉があることが多い。つまり、誰かによって夢を見させられている。
サヴィトリはためらいなく、氷の刃を自分の心臓めがけて振り下ろした。
夢の中で死ねば、現実の自分が目を覚ます。それが、術由来の明晰夢を破るためのセオリーだ。
「サヴィトリ!」
「サヴィトリ様!」
ヴィクラムがサヴィトリの手首を押さえる方が一瞬早かった。
カイラシュによって氷の刃をもぎ取られる。
サヴィトリは舌打ちを禁じ得ない。
心臓ではなく頸動脈を切るべきだった。覚悟が少し足りなかったようだ。
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