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(舌を噛めば死ねるって聞くけれど、どれくらい強くやれば……)
サヴィトリは舌を出して噛み切ろうと試みる。だが意図を感知されたのか、ヴィクラムによって舌を吸われ、ねぶられた。そのままサヴィトリとヴィクラムはベッドに倒れ込む。
「誘っているのかと思ったぞ」
ヴィクラムは冷笑し、サヴィトリを真似て舌を突き出す。
「くっ……冗談じゃない! そもそもどうして二人とも仲良く一緒にいるんだ! お前たちは相対したら即座に殺し合うような仲だろう!」
めちゃくちゃなことに聞こえるかもしれないが、間違ったことは言っていない。
とにかくカイラシュは性別年齢理由問わずサヴィトリに近寄る者を排除しようとする傾向にある。サヴィトリに対して好意を持っている人間なら、なおのこと苛烈な拒否反応を示す。
「本来であればそうなのですが、少し気になることがありまして」
カイラシュは髪紐でサヴィトリの両手首をひとまとめに拘束する。
「何をするんだ! カイ、ヴィクラム、いい加減にしないと本当に怒るからな!」
細い髪紐は、手を動かすほどサヴィトリの肌に食い込む。
説得する以外に、この場から逃れる方法はなさそうだ。とはいえ、聞く耳を持たない二大巨頭相手であるため、極めて分の悪い賭けになる。
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