5-3 知らない舌★

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 現実のカイラシュであれば、「三人でどうこうする」などということは絶対に許さない。この状況が夢であるのは理解しているが、もう少し現実のカイラシュの性格に即した行動をしてもらいたいものだ。  ヴィクラムはしぶしぶといった様子でサヴィトリから少し離れた。カイラシュに抗議すると面倒だと知っているからだろう。  おかげでサヴィトリは腕を下すことができた。ずっと頭の上で押さえつけられていたため肩が痛い。 「カイ、お願い。これほどいて」  我ながら演技が下手だなと思いつつ、サヴィトリは紐で拘束された両手を突き出し、猫撫で声で懇願する。 「ほどいたら、また自害するでしょう」 「うん。……あ」 「サヴィトリ様、そこまでいくともはや正直ではなく、頭に『バ』がつくあれですよ」  カイラシュは深いため息をつき、憐みの目を向けた。しかしその後すぐに目を細め、 「ですがまぁ、『カイが欲しいの♡ お願い我慢できなぁい♡』ってえっちにおねだりしてくだされば考えます」 「気持ち悪い」 「ありがとうございます。できればもっと冷たく(さげす)むように言ってください」  カイラシュは天上の美貌を除くと、本当にただの気持ちの悪い変態だ。その美しさをもってしても気持ち悪さの方がやや勝る。  脇でおとなしく控えているヴィクラムも引いているのが雰囲気でわかった。
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