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(それにしても、いつまでこんな……)
経験のないサヴィトリでも、性行為にこの先があることは知っている。まかり間違ってもこんなおかしな夢の中で続きをしたくはない。
異性として誰が好きなのかも、いまだはっきりしておらず、カイラシュやヴィクラムの勢いに翻弄されている。
(どうしてみんなは私のことを好きでいてくれているんだろう。こんな、最低なのに)
「流されやすいのはちょっと問題だけど、最低ってほどではないと思うよ」
サヴィトリの自問に、何故か応えが返された。
「今回のことに関しては、発起人であるカイラシュさんがダメでしょ。サヴィトリが自分の感情に向き合うように仕向ける、ってとこまでは良かったけど、速攻で手を出す方に舵を切っちゃったから」
サヴィトリの視界に、ガラスを叩き割ったようなヒビが入る。破片がぽろぽろとこぼれ落ち、そこからまばゆい光が差した。
「そんなことより、起きて、サヴィトリ。ご飯持ってきたよ」
「……ジェイ?」
声の主に思い当たり、サヴィトリがその名を呼ぶと、視界が白い光で埋め尽くされた。かすかに甘い香りがサヴィトリの鼻先に漂ってくる。
サヴィトリは、ゆっくりと目蓋を持ちあげた。
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