33人が本棚に入れています
本棚に追加
5-4 元暗殺者のモーニングコール
「おはようサヴィトリ! いきなりだけど、食事はAコースとBコースのどっちがいい?」
「……えぇ?」
起き抜けに大きな声で挨拶と質問をぶつけられ、サヴィトリは困惑を返すことしかできない。
「Aコースね。おっけー!」
ジェイはいつものにこにこ笑顔を作り、サヴィトリの腕を引っ張ってベッドから起き上がらせた。
状況が把握できないサヴィトリは、されるがままに任せる。
「ジェイ、私はAって言ったんじゃなくて……」
サヴィトリは頭を抱えた。
ジェイのテンションについていけない、というのもあるが、単純に頭痛がした。夢見が悪かったような気がする。
――いや、間違いなくひどい夢を見た。何がひどかったのか具体的には思い出せないが、ひどいという実感だけは残っている。
「狼討伐から戻ってからずーっと部屋に引きこもってるから、勝手に鍵開けて入っちゃった」
「引きこもり……」
サヴィトリはジェイの言葉を反芻する。頭にもやがかかっていて思い出せない。
それよりも「鍵開けて入っちゃった」の方が引っかかる。曲がりなりにも王女の部屋だ。簡単に開けられるような鍵を使っているわけがない。
最初のコメントを投稿しよう!