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(やっぱり食えないな)
サヴィトリはじっとジェイを見つめた。
ありふれた茶髪と鳶色の瞳。人が良さそうな、しかし、いつ見てもまったく同じにこにこ笑顔。
かつてサヴィトリを裏切り、殺害しようとした暗殺者。
「鍵開けはおじいちゃんから仕込まれた特技の一つだってば。もー、本当に悪かったと思ってるし、足は綺麗に洗ってるからそんな目で見ないでよー」
サヴィトリの心の中を見透かしたように、ジェイはおどけてみせる。
「ジェイのことは信じてるよ。でも、あの時のことはやっぱり嫌だったな、って」
サヴィトリは膝を抱え込んだ。
ジェイとの付き合いはナーレンダの次に古い。ありていに言えば幼馴染だ。
サヴィトリが養父と共に暮らしていた森の近くにあるトゥーリという街にジェイは住んでいた。ジェイの生家は精肉店を営んでおり、養父やナーレンダに連れられて買い物をしに行くうちに顔見知りになった。年が近い子供が他におらず、仲良くなるのに時間はかからなかった。
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