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数年後、ジェイが宮廷調理師見習いとしてクベラの王城で働くことになったと聞かされてから、ずっと音信不通だった。またクベラに大事な人を取られた、と悲しくなったのをサヴィトリは覚えている。
次にジェイに会ったのは、サヴィトリが暮らしていた森だった。正式な王位継承者としてサヴィトリを迎えに来た一団の中に、近衛兵となったジェイの姿があった。
ジェイに襲われたのはそのあと、サヴィトリがクベラに到着してからのことだ。
いつからジェイが暗殺者だったのか、サヴィトリは知らない。
「ごめん。俺はもう裏切らない。またサヴィトリに泣きながらボコボコにされるのは絶対に嫌だし、俺の命はサヴィトリのものだから」
ジェイの言う通り、一対一でサヴィトリが殴り勝った。
その後、紆余曲折あって、サヴィトリはジェイを生かすことを条件に、王位継承者としてクベラに戻ることを受け入れた。
サヴィトリとしては恩に着せるつもりはなかったが、ジェイはそのことを重く受け止めている。
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