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「……思い、出した」
サヴィトリは呻き、壁に両手をついた。頭からシャワーをかぶる。
最初の一日は、確かに自分の意思で引きこもった。ヴィクラムとあんなことがあって、誰とも顔を合わせたくなかったからだ。また性懲りもなく流されたなど、幻滅されても仕方がない。というよりもサヴィトリ自身、自分のことを軽蔑している。
それに加えてあの明晰夢だ。誰かの意図によって見させられたものである可能性が高いが、内容まで細かく指定できるものではない。せいぜいざっくりと、怖い夢、楽しい夢、卑猥な夢——といった傾向のものを見るように仕向けるだけだ。
「うううぅぅぅ……」
サヴィトリはその場にしゃがみこみ、膝を抱えた。シャワーが全身を打ちつける。
(どうしてこんなことになったんだろう。今まで通りじゃダメだったのかな。みんなが何考えてるのかわからないし、私もどうしたいのかわからない。もういっそ、こんな役に立たない頭、かち割りたい)
思うが早いか、サヴィトリは実行に移した。
額を壁に強く叩きつける。
ごっ! と鈍い音がし、サヴィトリの視界に火花が舞った。遅れて痛みがやってくる。
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