5-5 一番じゃなくていい

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「ごめん、責めるような言い方して。他のみんなは、そういうこと知ってても、私には教えてくれないから」  サヴィトリは視線を逸らし、自分の肩を抱いた。  先の羅刹隊士の件といい、カイラシュは独断・独力で物事を処理する傾向にある。補佐官職の性質ゆえ仕方のないところもあるが、信用されていないようでもやもやする。  ナーレンダも似たような性質だ。サヴィトリを子供扱いし、危険から遠ざけようとする。大切に思ってくれているのはもちろんわかっている。だがその過保護さが息苦しい時もあった。  言葉を額面通りにしか受け取らないヴィクラムは、こちらが正確に質問しなければ答えをくれない。魅了の瞳のこともあり、必要以上に神経を使わなくてはならないのが厄介だ。  そんな三人に比べ、ジェイはフラットだ。一番気安い。楽に接することができる。  ジェイ自身もサヴィトリの身分のことをさほど気にしていない。そのせいで、カイラシュから目を付けられてはいるのだが。
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