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「でもカイラシュさんのこと嫌いじゃないでしょ」
ジェイは含みのある言い方をした。
「みんな好きだよ」
「いつもそうやってはぐらかすよね。別にみんな、自分が一番じゃなくてもサヴィトリから離れたりはしないよ」
「別にそんな意図があるわけじゃないんだ。誰のことが一番好き、とかそういうのじゃない。だからといって、大切に思ってないわけでもないんだけど……よくわからない。私は、もともと持っている性質が不誠実なのかもしれない」
サヴィトリはなんとはなしにカットフルーツに手を伸ばした。意図されたように果物の種類は四つ。
サヴィトリは手を握りつぶし、代わりにお茶をすすった。
「本当に不誠実なら悩まないと思うけどね」
「不誠実だよ。みんなに流されてる。この前だって」
言いかけて、サヴィトリは口をつぐんだ。あきらかに不自然に映っただろう。
「まぁ、ヴィクラムさん相手なら仕方ないんじゃない?」
ジェイは頬を指先で掻いた。困った時のジェイの癖だ。
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