5-5 一番じゃなくていい

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「でもカイラシュさんのこと嫌いじゃないでしょ」  ジェイは含みのある言い方をした。 「みんな好きだよ」 「いつもそうやってはぐらかすよね。別にみんな、自分が一番じゃなくてもサヴィトリから離れたりはしないよ」 「別にそんな意図があるわけじゃないんだ。誰のことが一番好き、とかそういうのじゃない。だからといって、大切に思ってないわけでもないんだけど……よくわからない。私は、もともと持っている性質が不誠実なのかもしれない」  サヴィトリはなんとはなしにカットフルーツに手を伸ばした。意図されたように果物の種類は四つ。  サヴィトリは手を握りつぶし、代わりにお茶をすすった。 「本当に不誠実なら悩まないと思うけどね」 「不誠実だよ。みんなに流されてる。この前だって」  言いかけて、サヴィトリは口をつぐんだ。あきらかに不自然に映っただろう。 「まぁ、ヴィクラムさん相手なら仕方ないんじゃない?」  ジェイは頬を指先で掻いた。困った時のジェイの癖だ。
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