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(あの中の一人とだってやり合いたくないのに、三人をまとめて相手取るなんてよくやるな。いや、三人相手だったからうまくやれたのか)
彼ら四人は、仲は悪くないが致命的に食い合わせが悪い。特に「老若男女を問わず、サヴィトリ様に近寄る者はすべて唾棄すべき存在」と言ってはばからないカイラシュが癌だ。よほどのことがない限り共闘はしない。
「わたくしの知ったことではありません。仮に知っていたとして、貴様に教える義理があるとでも?」
見目の整ったカイラシュが怒りに顔を歪ませると無闇に迫力がある。
「本当に余裕ないですね。そんなんだからサヴィトリの異変に気付かないんですよ」
ジェイは一切動じることなく笑顔を崩さない。
「サヴィトリの部屋に得体の知れない香炉が仕掛けられていたのは、カイラシュさんの手落ちじゃありませんか?」
「香炉……?」
カイラシュは眉をひそめ、自分の手の中にある物に視線を向けた。
「それのせいでサヴィトリはさっきまでずっと眠ったままだったんですよ。カイラシュさんともあろう人がサヴィトリの異変を察知できないなんて、よほどのことでもあったんですか?」
笑顔自体は同じなのに、雰囲気ががらりと変わる。
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