35人が本棚に入れています
本棚に追加
「んーーー、率直なのはサヴィトリの美徳の一つだと思うけど、次からはもうちょっと考えてから発言してね」
暗に小馬鹿にされた気がし、サヴィトリはむっとしてジェイの指を強めに打ち払った。
「とりあえずカイラシュさんとヴィクラムさんのクベラ組は、隙あらばごりごりにフィジカルから押し流そうとしてくるタイプなのがわかったでしょ。自分の気持ちに確信が持てるまでは軽率なことしちゃダメだよ」
子供に言い含める母親のようなトーンでジェイは忠告する。
「なんで最初にそういうこと教えてくれなかったの?」
「サヴィトリは身をもって体験しないと学習しないタイプだから」
「……ジェイは私が誰と何をしても気にしないの?」
「どうしてそう思うの?」
ジェイから笑顔が消えた。
さすがに今の発言は考えなし過ぎた、とサヴィトリは遅い後悔する。
「無神経で無鉄砲で優柔不断で面倒くさい王女サマをどういうわけか好きになっちゃった時点で、俺の人生詰んでるんだよね」
恨み言めいたことを口にするジェイの顔は、意外にも晴れやかだった。
ジェイの本心がどこにどんな形であるのか、サヴィトリには読めない。
最初のコメントを投稿しよう!