1-3 陽光姫と四人の恋人

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「他国出身者や術至上主義者が集まる旧太師派はナーレンダ・イェル術士長」  ナーレンダは興味なさげにふんと顔を逸らし、腕組みをした。肩のあたりで切りそろえられた空色の髪がさらりと揺れる。  あれこれ文句をつけ、嫌な顔をするくせに最後まできっちりと面倒を見てくれる。サヴィトリにとって年の離れた兄のような存在だ。 「そしてわたくしがサヴィトリ様の愛の奴隷です」  カイラシュが勝手に名乗りを上げた。  サヴィトリは黙殺し、カイラシュ以外の三人に笑顔を向けた。 「ヴィクラム、ジェイ、ナーレ。苦労をかけてしまうけれど、みんなよろしくね」 「なんで無視するんですかサヴィトリ様あああああああああああっ!!!!」  カイラシュが泣きながらすがりついてきた。  サヴィトリは顔を逸らして見て見ぬふりをする。  見た目だけは傾国の美女もかくやというほどなのに、カイラシュのこういうところが残念だ。  腰にしがみつくカイラシュを引きずりながら、サヴィトリは大股で会議室を後にした。
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