第2章 2-1 オールジャンル対応型補佐官

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第2章 2-1 オールジャンル対応型補佐官

「サヴィトリ様、それでは早速わたくしとえっちなことをいたしましょう」  がたがたごとごとと揺れる箱馬車の中。  サヴィトリの向かいに座るカイラシュが満面の笑みで気が触れたことを提案してきた。 「カイ、本当にその頭の中に脳みそ入ってるの?」  サヴィトリは口角を吊り上げ、カイラシュの頭を挟むように、こめかみに拳をねじり込んだ。 「痛い痛い痛い痛いっ! サヴィトリ様、それは本当にただ痛いだけのやつです! できればもっと性的に興奮できるような痛みをああああああああああっ! なんでもないです申し訳ありません申し訳ありません出過ぎた真似をいたしましたあいただだっ!」  あまり騒いで御者に不審がられても困る。風の術具(じゅつぐ)によって防音対策がされているが、完全に音を遮断できるわけではない。  サヴィトリはカイラシュを解放し、席に戻った。なんとはなしに窓から外を眺める。  数日前から季節外れの長雨が続いており、どんよりとした灰色の雲が空を覆っていた。雨のせいで路面の状態も悪く、馬車に振動軽減機能がついているにも関わらず、かなり揺れる。
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