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(六人か)
サヴィトリは視線を巡らせ、状況を確認する。
暗緑色の装束を着た者たちが、サヴィトリとカイラシュを遠巻きに取り囲んでいた。すぐに襲いかかってくる気配はない。六人全員、フードを目深にかぶり、鍔のない短剣を携えている。
サヴィトリは真正面にいる者に照準を合わせ、問答無用で矢を放った。
矢は白い霧を纏いながら直進し、フードに隠れた顔へと吸い込まれた。直後、矢が接触した部分を起点に氷が広がっていき、またたく間に一体の氷像ができあがる。
襲撃者たちに動揺が走るのがわかった。
彼らは、クベラ国第一王女が戦う手段と覚悟を持っているということを知らずにやって来たようだった。
「術士相手に距離を取っていていいのか」
問いかけながら、サヴィトリは地面に右手を叩きつけた。泥水がびちゃりと跳ねる。
雨によって地面に作られたいくつもの浅い水溜まりが、サヴィトリの動きに呼応するように白く光った。一瞬よりも短い間の後、発光した部分から幾本もの氷柱が隆起する。氷柱の大きさは様々で、腰の高さほどのものもあれば、身の丈以上のものもあった。
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