34人が本棚に入れています
本棚に追加
襲撃者の一人が氷柱に足を貫かれた。出血がただちに凍り付き、氷柱と固着してしまい身動きが取れなくなる。
運悪く水溜まりの多い場所に陣取っていたせいで氷柱に取り囲まれ、動けなくなっている者もいた。
残った三人の襲撃者は目配せをし、体勢を低くして同時に駆けた。サヴィトリに向かって押し寄せる。
「このわたくしがいるのに、サヴィトリ様に触れさせるわけがないでしょう」
カイラシュがサヴィトリの前に立った。下から腕をすくい上げるようにして何かを投擲する。
「がっ!」と短い悲鳴を上げ、襲撃者の一人が倒れた。その顔には幾本もの黒い針が突き刺さっている。
「軽いせいか雨で軌道がずれますね」
どこからか取り出した何本もの黒い針を扇のように広げ、カイラシュは小さくため息をつく。
「まぁ、外しませんけど」
舞と見まごう優雅さでカイラシュは腕を振り動かす。
また一人、悲鳴と共に倒れた。黒い針が整然と顔に刺さり、黒い十字を描いている。
最初のコメントを投稿しよう!