2-2 襲撃者

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 氷柱の陰に隠れ、黒い針をやり過ごした最後の襲撃者が、カイラシュに肉薄する。 「残念。ご苦労様でした」  力と速度の乗った致命の突きを、カイラシュは軽くかわす。そこから流れるような動きで回し蹴りを放った。相手の頭部を正確に捉える。 「もし悔い改める気があるなら、あの世でサヴィトリ様の素晴らしさを喧伝(けんでん)しておいてください」  カイラシュの蹴りをまともに食らった襲撃者は衝撃で飛ばされ、氷柱に頭から叩きつけられた。氷柱が粉々に砕ける。襲撃者は破片の上に力なく倒れ込んだ。  これでサヴィトリとカイラシュ以外に、この場で動く人間はいなくなった。
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