2-3 雨に濡れた身体を温めるには

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2-3 雨に濡れた身体を温めるには

(次からは襲撃される場所についても考慮に入れないとな)  タオルを頭に擦りつけながらサヴィトリは反省する。  暗緑色の装束集団に襲われた地点から最寄りの宿場に到着するまで数時間もかかってしまった。途中で運良く逃げた馬を捕まえられたから良かったものの、徒歩のままであれば到着が夜中になっていたかもしれない。  窓の外では相変わらず雨が降り続けている。  サヴィトリの身体が自然と震えた。  宿で借りた丈の長いチュニックに着替えてはいるが、それ以外身に付けていない。全身ずぶ濡れだったため下着まで脱ぐ羽目になった。 「寒いならわたくしの体温で温めましょうか?」  過剰に吐息を含んだ声が聞こえ、背後からサヴィトリの身体に腕がまわされた。  サヴィトリは即座に肘先(ひじさき)を相手の腹部に叩きこむ。痴漢行為に対する正当防衛だ。 「っぐ……! こ、呼吸が止まるほどの愛ある一撃ありがとうございます!」  鳩尾を押さえて崩れ落ちたカイラシュが理解不能なことを言っている。カイラシュのこういうところは本当に気持ちが悪い。  カイラシュもサヴィトリと同じように、宿から借りた服に着替えていた。髪を下ろしているため、いつもと雰囲気が違う。
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