2-3 雨に濡れた身体を温めるには

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「ありがとう。でもカイが先に入った方がいいよ。私をかばってだいぶ濡れてしまったでしょう」  断られるだろうなと思いつつ、サヴィトリは提案する。  さっき抱きしめられた時、カイラシュの手も身体も氷以上に冷たかった。放っておくと体調を崩しかねない。 (どうにかカイをお風呂に入れる方法ないかな。命令でもする? いっそ力ずくで湯船に沈める?)  サヴィトリは顎先に手を当てて考え込む。  サヴィトリがお風呂から出た後すぐに入ってくれるならいいが、カイラシュのことだ、自分のことは後回しにしてしまうだろう。あれこれサヴィトリの世話を焼くに決まっている。 「ではわたくしと一緒に入りましょうサヴィトリ様」 「なるほど。わかった」  サヴィトリは即座に承諾する。  その方法は思いつかなかった。カイラシュが言い出さなければ頭によぎりもしなかっただろう。
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