第1章 1-1 シフト制にはワケがある

4/7
前へ
/175ページ
次へ
「それなら、もういっか」  サヴィトリはにっこりと笑い、ティアラをカイラシュに投げ渡した。頭を揺する。肩のあたりまで伸ばされた、陽の光を紡いだような金髪が楽しげに跳ねた。  ここからやっと本音で話せる。対外向けの茶番はここまでだ。 「全然良くないんだけど。そもそもシフト制って何さ。 聞いてた話と全然違う」  ナーレンダは席を立ち、サヴィトリに詰め寄った。  出鼻をくじかれたサヴィトリはむっとした顔をしてみせる。  他の三人に比べ、ナーレンダは納得がいかないことがあると徹底的に詰めてくるタイプだ。さっさと本題に入りたいが、あまり放っておくと計画そのものを反故にしかねない。 「左丞相(さじょうしょう)派、右丞相(うじょうしょう)派、旧太師(たいし)派――この三派閥から君の婚約者候補を出されると厄介だから、先手を打って僕ら『三人』を恋人役として立てておく、って話じゃなかった?」 「その点について変更はありません」  サヴィトリとナーレンダの間にカイラシュが割って入った。
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加