2-3 雨に濡れた身体を温めるには

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(こんなに色々言うくらいなら断ればよかったのに。どうしてカイは一緒に入ったんだろう)  サヴィトリはじっとカイラシュを見つめた。  視線に気付いたカイラシュは綺麗に微笑み返す。 「狭いわけではないのですから、そのように窮屈な体勢でいることもないでしょう」  カイラシュはサヴィトリの手を取って自分の方へと引き寄せる。水中ではまったく踏ん張りがきかず、サヴィトリの身体は簡単に傾いた。  サヴィトリは自分の背中に濡れた肌が触れたのを感じ、数秒思考が停止する。思考が復旧した時には、身体が密着するようにカイラシュの両腕がしっかりと肩にまわされていた。 「ね、サヴィトリ様。泡風呂って、どう使うかご存じですか?」  カイラシュは唇をサヴィトリの耳たぶにかすめ、囁き声で尋ねた。
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