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「んっ、こんなこと言うと、カイは怒るかもしれないけれど……カイのことは、好きだよ。でも、他のみんなとどう違うのかはわからない。だから、その、困るんだ。困る。どうしたらいいのか……」
サヴィトリは自分の言葉のつたなさに頭が痛くなった。
サヴィトリにとってカイラシュは特別だが、カイラシュだけが特別なわけではない。いわゆる恋愛感情とも違う気がする。
しばしば言動におかしなところは見られるが、森から出てきたばかりで常識なしのサヴィトリを今日まで支えてくれている人物だ。カイラシュがいなければ、どこかしらの派閥に取り込まれ、都合良く使い捨てられていただろう。
「……ずるいです」
カイラシュはサヴィトリの肩に顎を乗せた。
「特別ではないとわかっているのに、好きだと言ってくださったことが、ただ嬉しい。性質が悪いです、本当に」
恨みがましく言うカイラシュの頬は、赤みを帯びていた。いつもより表情が幼く、可愛らしく見える。
サヴィトリはなんとはなしにカイラシュの頭を撫でたくなった。そろそろと手を伸ばし、濡れて光沢の増した菫色の髪に触れる。するするとなめらかな指通りが気持ち良い。
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