2-5 雨+のぼせ+湯冷め=?

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2-5 雨+のぼせ+湯冷め=?

(まこと)に申し訳ございませんでした!」  カイラシュの謝罪の声が聞こえ、サヴィトリは目を覚ました。  身体を起こそうとするが、力が入らない。おもしを載せられているかのように頭と手足が重い。おまけに熱感があった。血管の許容量を超える血液が、全身を駆け巡っているようだ。呼吸をするたびに干上がっていくような感じがする。 「この子を罹患(りかん)させて帰って来るとか、いったいどういう了見なわけ?」  怒りに震えた声も聞こえてきた。  透明感があり、どこか冷たさを感じさせる水晶のような声は、ナーレンダのものだ。  サヴィトリはゆっくりとまばたきをし、宙を見つめる。  視界には、見覚えのある天蓋(てんがい)があった。サヴィトリが城で使用しているベッドについている飾りとまったく同じものだ。  できる限り頭を動かして周囲を(うかが)うと、そこはまぎれもなく王城の一角にあるサヴィトリの寝室だった。
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