第1章 1-1 シフト制にはワケがある

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「じゃあなんでシフト制で、なおかつカイラシュ《お前》を入れた『四人』と付き合う、とか頭のわいた話になってるわけ?」  わなわなと震えるナーレンダの右手に青い炎がともる。  本気で怒っている時のサインだ。火術を得意とする術士であるナーレンダは、機嫌が悪いと平気で人に炎を投げつける。 「シフト、とは言いましたが、わたくしが最初で最後です。我が一族に脈々と受け継がれし叡智(えいち)を駆使し、サヴィトリ様を快楽の沼へと引きずり込むので他の野郎どもの出番などありません」  カイラシュは本当に頭のわいたことを言い出した。とはいえカイラシュの発言がおかしいのはいつものことなので、サヴィトリは聞かなかったことにする。 (いつまたタイクーンが譲位を言い出すかわからない。いい加減、覚悟を決めないと)  サヴィトリの血縁上の父である現タイクーンは数年前から病床に伏していた。第一王子と第二王子が立て続けに亡くなったのが原因だ。最近では会うたびに譲位をほのめかされる。
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