2-5 雨+のぼせ+湯冷め=?

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「君、高熱を出して戻って来たんだよ。まったく、雨の日なんかに出かけるから」  ナーレンダはサヴィトリの額と頬に手を当てた。  ナーレンダの手自体は冷たくないのだが、温度差が今のサヴィトリには気持ち良い。 「しっかり完治するまでおとなしくしているんだね。まぁ面倒は見てあげるよ。光栄なことに、僕のシフトになってしまったからね」  サヴィトリは介助をしてもらい、上体を起こした。ナーレンダから水の入ったグラスを受け取る。 「いきなりたくさん飲むとむせるから、最初は口の中を湿らせるくらいにしておきなさい」  サヴィトリは頷き、水をほんの少し口に含む。あっという間に乾いた口腔に吸い込まれていく。もう一度、同じくらいの量を含み、おそるおそる飲み込んだ。喉が()れているのか、やや染みた。 「術法院(じゅほういん)で開発した薬と栄養剤をいくつか持ってきたから、症状に合わせて適宜(てきぎ)飲むといい」  ナーレンダはサイドテーブルを指さす。水差しとグラスの他に、小さな薬瓶が並べられており、それぞれに「解熱用」「腹痛用」「食欲不振時」などと書かれたラベルが貼ってある。
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