2-5 雨+のぼせ+湯冷め=?

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 部屋の扉が閉まった後、サヴィトリは勢い良く倒れ込んだ。枕に顔を押しつけ、毛布を引っ張って頭のてっぺんまで覆い隠す。 (……思い出した。全部)  ナーレンダに頭を撫でられた瞬間、サヴィトリの中で断片的だった映像が時系列順に整列した。カイラシュとの間に何があったのか、鮮明によみがえった。  風邪による発熱とは種類の違う熱さが、サヴィトリの身体の奥でくすぶる。 (思い出さなきゃよかった……)  どんな顔をしてナーレンダと会えばいいのかわからない。何故ナーレンダに対して気まずさを感じているかもわからなかった。  サヴィトリは眠りが訪れるよう、強く祈りながら目蓋を閉じた。
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