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「タイクーンの懐刀、美貌の補佐官カイラシュ・アースラ。高官を多数輩出してきた名家キリークの嫡子にして不世出の剣豪、ヴィクラム・キリーク。わずか数年で、宮廷調理師見習いから近衛兵、ヤーマ伯にまで成り上がったラッキースター、ジェイ・フウ・ヤーマ。で、イェル術士長。誰が次期タイクーンの王配になってもおかしくない、そうそうたる顔ぶれですよねえ。あ、補佐官は王族と婚姻不可でしたっけ」
ル・フェイは僕の許可なくチョコレートを食べながら、あのアホども三人の表面的なプロフィールをそらんじる。
カタログスペックだけはどいつもこいつも異常に良い。中身はそれぞれ、サヴィトリのことしか見てない変態、四則演算すらできない酒浸りの馬鹿、何を考えているのかわからない腹黒だ。
「うかうかしてると本当に取られちゃいますよ、術士長」
ル・フェイがうっとうしく人の頭をつついてくる。
「取られるって何さ」
僕はル・フェイの手を払いのけ、青い炎の灯った人差し指を向けた。
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