第1章 1-1 シフト制にはワケがある

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 母が側室であり、後ろ盾を持たないサヴィトリにできることはあまりに少ない。  そこでサヴィトリが考えた計画は二つ。  一つは、ナーレンダが言っていたように、先んじて恋人を立て、三大派閥の動きをけん制すること。  現タイクーン――クベラ国では国王のことを「タイクーン」と呼ぶ――の子は第一王女のサヴィトリしか残っていない。クベラ国は血統を重んじるため、次のタイクーンは確実にサヴィトリだ。  二十に満たず、王族として必要最低限の教育すら受けていない。ただ血を受け継いだだけの娘。それを籠絡(ろうらく)するのは簡単だ。男をあてがい、子を生ませてしまえばいい。サヴィトリの動きを封じられる上に、子が成長するまで王配(おうはい)が実権を握れる。  サヴィトリの周りにはちょうど都合良く、各派閥の機関に所属し、王配として充分な身分と才覚を備えた者が三人いた。それがナーレンダと、今円卓に着いている二人だ。彼らにうまく各派の支持を得てもらい、派閥の息のかかった者を近づけないようにする。そしてあわよくば派閥の内情を探り、敵味方をはっきりとさせる。それが一つ目の計画の狙いだ。 (三人中二人は偵察下手そうだから、あんまり期待はしていないけれど)
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