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3-2 子供扱い
「発熱に喉の腫れ、全身の倦怠感。咳、鼻水はなし」
サヴィトリの額に手を当てたり、口の中を見たり、指や肘を押したりといった簡単な診察を終えると、ナーレンダは紙に症状を書き記す。
サヴィトリに眠りが訪れるよりも前に、ナーレンダが帰ってきてしまった。理由のわからない気まずさで、サヴィトリはナーレンダと目を合わせられない。
「まぁ、わかってはいたけれど、いわゆる風邪だよね」
抑揚のない声で言うと、ナーレンダはテーブルに置いていたゼリーの入った皿を手に取った。スプーンで一口分をすくい取り、サヴィトリの口の近くに運ぶ。
「口開けて」
「自分で食べられるからいいよ」
「君が自分で食べようとして落とす確率が少しでもある以上、僕が食べさせた方が効率的だ。もしも落として毛布を汚されでもしたら僕の労力が増える。僕の言葉が理解できて、僕に余計な手間をかけさせたいというわけではないのなら、おとなしく口開けて」
ナーレンダの圧の強さに、サヴィトリはしぶしぶ口を開く。
何味かはわからなかったが、甘く冷たいゼリーは、熱で火照った身体に心地よく染みわたった。半分ほど食べたところで、ナーレンダは口にスプーンを運ぶのをやめてしまう。
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