3-2 子供扱い

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「前々から馬鹿だと思っていたけれど、認識を改めるよ。君は他に類を見ないほどの大馬鹿だ。ああ、もちろん君がカイラシュのことを異性として好ましく思っているというのなら別段間違った行為じゃあない。けれど君の様子から察するに、いつもみたいに勢いで適当にやってしまった結果に起こった事象だろう、どうせ。本当に君は短慮で鈍感で、危機感と想像力が絶対的に足りてない」  ナーレンダの言葉が容赦なくサヴィトリに突き立てられる。  反論の余地もない。今回のことを招いた原因はほぼ100%サヴィトリにある。ちょっと考えれば子供でもわかることを考えていなかった。  どうしようもなくなったサヴィトリは毛布を頭まで被った。 「すみません。返す言葉もございません」 「僕に謝ってもしかたないだろう。害を(こうむ)るのは君だ」  ナーレンダに毛布をはぎ取り、サヴィトリの眼前に指を突きつけた。 「でも、実際のところはどうなのさ。僕の推量が間違っていて、君が本当にカイラシュのことが好きだというのなら、僕がどうこう口出すことじゃあない。看病もあいつと変わるよ。君にとってもその方がいいだろう」  ナーレンダは疲れたようにため息をつき、前髪をかきあげた。
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