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「異性としての好きって、よくわからない」
サヴィトリは視線を落とし、両手を組んだ。指輪のない左手はいつもより心もとない。
「どうすればちゃんと自覚できるの? 相手の目を見る? 手を握る? キスする? それ以上? 全部できたら、その人のこと好き?」
クベラ国第一王女として王都に来るまで、町に買い物に行く以外に人との関りがなかったサヴィトリにとって、恋愛感情はさらに縁遠いものだった。自身の感情を自覚することもできなければ、相手から向けられていたとしても気付けない。
「そういうのは心が先だろう。触れたいと思うから触れるもので、試すために触れるんじゃない」
「カイは身体が先でもいい、って言ってた。心は身体に付随するんだって」
「クベラ人ならそう言うだろうさ。手が早いのは国民性に由来するからね」
ナーレンダは口元を引きつらせ、腕を組んだ。
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