3-2 子供扱い

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「クベラでは伝統的に多産が推奨されている。他の国にはない、『術』という遺伝する異能があるせいだ。子供が増えれば、術士の数も増える。術の遺伝は、君に他国との縁談を勧める者がいない理由の一つでもある。クベラ人以外の血が混じると、術の資質が遺伝する確率が極端に下がるからね」 「ナーレとジェイもクベラ人じゃないよね?」  ナーレンダは大陸西部に広がる乾燥地帯イェルステップの出身だ。ジェイは大陸中央にある都市国家に実家がある。 「イェルの民はクベラ人とルーツが一緒だからね。広義ではクベラ人と言えなくもない。あいつについては知らないし興味もないね」 「じゃあナーレも手が早い?」 「怒るよ」  ナーレンダは額に青筋を浮かべ、にっこりと笑った。  サヴィトリはふるふると首を横に振る。ナーレンダと相対していると、どうにも言動が幼くなってしまう。一緒に暮らしていた時の関係性を引きずっているせいかもしれなかった。
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