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「師匠のこと悪く言わないでよ」
サヴィトリは頬を膨らませる。
元々は養父のことを「おとうさん」と呼んでいたが、術の扱い方や戦い方を教わるようになってから「師匠」と呼ぶように、ときつく言い含められた。
「別に悪くは言ってないさ。本当に悪いのは、隙だらけで全員に良い顔をする君だからね」
ナーレンダは意地悪く口元をゆがめ、サヴィトリの眉間を爪弾きにした。
「そんなの身に覚えがないよ。どこらへんが隙で、何が良い顔なのかわからないし」
言いがかりをつけられている気がしてサヴィトリはイラっとする。
具体的に何がどうダメなのか指摘してくれればいいのに。みんな不満はぶつけてくるくせに、ふわっとしたことしか言ってくれない。
「無知を盾にしていいのは子供だけ。君はもう大人なんだろう。自分で考えなよ」
「自分の都合で私のこと子供扱いしたり突き放したりするところ、本当に嫌い」
サヴィトリはべーっと舌を突き出して悪態をついた。
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